火薬で宇宙を表現するアーティストの展覧会って知ってる?
こんにちは、NAOMIです。
今日は、国立新美術館で開催中の展覧会「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」。
この展覧会は、中国の現代美術家・蔡國強(ツァイ・グオチャン / さい・こっきょう / 1957年〜)の大規模な個展で、火薬を使って宇宙や見えない世界を表現する彼の作品がたくさん見られます。
火薬って、花火や爆竹に使われるものだけど、アートにも使えるの。すごくない?私も初めて知ったときには驚きでした。
火薬で宇宙や見えない世界を表現するってどういうこと?
蔡國強は中国の福建省というところで生まれ。でも1986年から1995年まで日本で活動していました。そのときに、火薬を使って絵を描いたり、空や地面で爆発させたりする方法を考え出したそうです。
彼は、小さいころから宇宙や見えない世界に憧れていて、中国の古い哲学や思想にも興味があったんだけど、日本に来てからは、現代社会や科学技術や現代美術にも触れて、自分の表現を広げていきました。
「外星人のためのプロジェクト」というシリーズを作っていて、
それは自分が外星人になったつもりで地球や人間を見つめ直すというコンセプト。
1989年に多摩川で爆発させた作品が最初で、それから世界中で色々な爆発プロジェクトをやってきたんだって。1995年にニューヨークに移ってからも、色々な展覧会やプロジェクトをやって、今では世界的に有名なアーティストに。
彼の作品の特徴は、火薬を創造的に使っていることなんだけど、火薬は中国の古代発明で、花火や武器として使われてきたものなんだよね。
でも、彼は火薬を破壊的なものではなく、創造的なものとして使います。火薬を使って紙やキャンバスに絵を描いたり、空や地上で爆発させたりすることで、宇宙や見えない世界と対話する方法なんだそう。
火薬は彼にとって、自然や社会、歴史や文化と関わる道具であり、芸術表現の手段であり、思想やビジョンの形にするものでもあるということのよう。
展示はどんな感じ?見どころは?
展覧会は、「原初火球」と「未知との遭遇」という2つの大きな作品を中心に展開されています。
「原初火球」とは、1991年に東京・四谷でやった展覧会で発表されたインスタレーションのこと。「原初火球」というのは、宇宙の始まりを意味する言葉で、7枚の屏風に火薬で描いた絵が放射状に並んでいます。その中には、ガラスや鏡に焼き付けた新作の火薬絵画もあって、それらは宇宙創造物語を現代的に再解釈したものなんだって。
ガラスや鏡は、光や色彩を反射させる素材で、宇宙や見えない世界への窓みたいな感じなんだよ。すごくキレイで幻想的だよ。
「未知との遭遇」とは、LEDを使った大きな光のインスタレーション。これは彼が子どものころから抱いていた、宇宙人やUFOとの遭遇の夢を形にしたものなんだって。
この作品は、たくさんのLEDライトが組み合わさった球体からなっていて、それぞれが自分の動きをします。
球体は、空間を自由に動き回って、時々集まったり分かれたりぶつかったり。球体の動きは、彼がプログラムしたルールによって決まっているんだけど、完全に予測できるわけじゃなくて、球体は自分たちの意志や感情を持っているみたい。
この作品は、私たちが作品の中を自由に歩き回って見ることができるんだけど、作品から出る光や音や動きが私たちに色々な感覚や感情を与えてくれる。
それによって自分と作品との関係や距離を探りながら、未知との遭遇を試みることになる。この作品は、彼が「外星人のためのプロジェクト」で描いてきた宇宙的ビジョンの最新版みたいなもの。
「原初火球」と「未知との遭遇」以外にも、日本で初めて見られるガラスや鏡に焼き付けた新作火薬絵画など約50点の作品を展示。これらの作品は、彼が中国時代から今までに作ったもので、彼の芸術的探求の歴史を見ることができますよ。それから、展示室には、あまり知られていない貴重な資料や映像もあって、彼の考え方や作り方を深く理解することができます。
蔡國強の芸術って何がすごいの?
本展を企画した国立新美術館長の逢坂恵理子さんは、
「宇宙への憧れと未知への好奇心によって、時空を超えた両義的な表現を模索し続けて来た蔡が提示する作品群は、破壊と創造、静と動、不可視と可視、混沌と秩序、そして誕生と死を表象する。それらは、宇宙のかけらである私たちに、改めて宇宙からの視点と存在の原点について示唆を与えてくれる」と言っています。(公式より)
私たちが普段見たり感じたりできないものを見せてくれるし、
自分たちの存在や世界の起源について考えさせてくれるんだよね。
展覧会は2023年8月21日まで開催されているから、ぜひ行ってみてね。